「2.5トン車」が2.5トン運べるとは限らない|最大荷重・許容荷重と荷重曲線の見方

最終更新日: 2026-10-01

フォークリフトの荷重曲線(ロードチャート)は、荷の重心までの距離(荷重中心)と上げる高さ(揚高)の組み合わせから許容荷重を読み取る表で、最大荷重は重心が基準荷重中心(1トン以上のクラスは500mmが一般的)にあるときの値です。計算の考え方は「重さ×前輪からの距離」のつり合いで、奥行き1.2mの荷なら重心は600mmになり許容荷重は下がりますが、実際の値は計算ではなく機体のチャートで確認します。最大荷重と許容荷重の違い、見方の手順を順に説明します。

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この記事の目次
  1. この記事の結論
  2. フォークリフトの最大荷重とは?
  3. 許容荷重とは?最大荷重との違いは?
  4. 荷重曲線(ロードチャート)の見方は?
  5. 許容荷重は計算で求められる?
  6. フォークを高く上げると許容荷重は下がる?
  7. アタッチメントを付けると許容荷重は変わる?
  8. 現場でよくある危ない判断は?

この記事の結論

  • 「最大荷重2.5トン」は荷重中心500mmで2.5トンという意味。重心が前に出るほど持てる重さは下がる
  • 荷重曲線は荷の奥行き(重心はおよそ半分)と揚高の組み合わせで読む。奥行き1.2mなら重心600mm
  • 許容荷重は計算式ではなく機体のロードチャートで確認する。許容荷重を超える使用は労働安全衛生規則第151条の20で禁止

フォークリフトの最大荷重とは?

最大荷重は、荷の重心がフォークの根元から決められた距離(基準荷重中心)にあるときに持てる最大の重さです。1トン以上のクラスでは、この距離を500ミリメートルにしているのが一般的です。

法令でも、最大荷重は「フォークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重」と定義されています(労働安全衛生法施行令第20条第11号)。

つまり「最大荷重2.5トン」は、荷重中心距離500ミリメートルで2.5トンという意味です。荷が大きくて重心がそれより前に出れば、扱える重さは下がります。

なぜ下がるのか。フォークリフトは前輪を支点にしたてこで釣り合っています。荷が前に出るほど、同じ重さでも車体を前に傾ける力が大きくなります。後部のカウンターウェイト(おもり)で釣り合わせている構造なので、この釣り合いが崩れると前に倒れます。

最大荷重は技能講習と特別教育の分かれ目にもなっていて、1トン以上の運転には技能講習の修了が必要です。

許容荷重とは?最大荷重との違いは?

許容荷重は、荷の重心の位置に応じて、そのときに実際にかけてよい最大の重さです。最大荷重は基準の条件での値、許容荷重は条件ごとの値と考えると分かりやすくなります。

労働安全衛生規則では、許容荷重を「フォークリフトの構造や材料、フォークなどに積む荷の重心位置に応じて負荷させることができる最大の荷重」としたうえで、許容荷重その他の能力を超えて使用してはならないと定めています(第151条の20)。

現場で守るべきなのは、カタログの最大荷重ではなく、この許容荷重です。

荷重曲線(ロードチャート)の見方は?

荷の重心までの距離(荷重中心)と上げる高さ(揚高)の組み合わせから、許容荷重を読み取ります。機体には荷重曲線のプレートが貼られていて、運転席から見える位置にあります。

荷重曲線の考え方(概念図)荷重中心距離(荷の重心までの距離)→許容荷重 →ここまでは定格どおり(基準の荷重中心)荷が大きく重心が前に出るほど持てる重さは下がる
実際の数値は機体のロードチャートで必ず確認する
  1. 運ぶ荷の奥行きを測る。荷が均一なら重心はおおよそその半分の位置
  2. 上げる高さを確認する
  3. チャートでその組み合わせの許容荷重を読む
  4. 荷の実重量がそれを超えていないか確かめる

奥行き1メートルのパレットなら重心はおよそ500ミリメートルで、基準どおりです。奥行き1.2メートルの荷なら重心は600ミリメートルになり、許容荷重は下がります。荷が大きくなるほど余裕が減ると覚えておいてください。荷の中身が片寄っていると、重心は奥行きの半分からずれます。

許容荷重は計算で求められる?

考え方は「重さ×前輪からの距離」の釣り合いですが、実際の許容荷重は計算ではなく、その機体の荷重曲線で読みます。

前輪を支点にすると、荷が車体を前に傾ける力は「荷の重さ×前輪から荷の重心までの距離」で大きくなります。同じ重さでも重心が前に出れば力は増え、同じ距離でも重くなれば増えます。これが、重心が前に出ると持てる重さが下がる理由です。

ただし、実際の機体はマストの傾きや揚高、タイヤ、アタッチメントの有無でも条件が変わります。そのためメーカーが機体ごとに示す荷重曲線の値が基準になります。技能講習の学科でも、力学の計算として重心や安定の考え方を学びます。出題の型は計算問題の対策で紹介しています。

フォークを高く上げると許容荷重は下がる?

下がります。フォークを高く上げるほど重心が高くなり、前後にも左右にも不安定になるからです。荷重曲線に揚高ごとの線や値があるのはこのためです。

マストの段数が多い機械や、高い位置まで上げられる機械では、高い位置での許容荷重が低い位置よりはっきり下がります。「棚の最上段に上げたら急に不安定になった」というのは、この領域に入っているためです。高く上げた状態で走ったり、急にハンドルを切ったりしないのが原則です。走るときはフォークを床から少し上げた低い位置に保ち、上げ下げは止まってから行います。棚に入れる荷は、置く場所の高さでの許容荷重を先に確かめてから運び始めましょう。

アタッチメントを付けると許容荷重は変わる?

変わります。アタッチメントの重さのぶんと、重心が前に出るぶんだけ許容荷重は下がります。クランプやロテーターなどを付けたときは、アタッチメント装着時の荷重曲線が別に示されます。標準フォークのチャートで判断しないでください。後から取り付けた場合は、装着時の許容荷重を販売店やメーカーに確認しておきます。

種類ごとの特徴はアタッチメントの種類で解説しています。

現場でよくある危ない判断は?

重さが分からないまま持ち上げることと、「浮いたから大丈夫」と判断することが、とくに危険です。

  • 荷の重さが分からないまま持ち上げる:表示がなければ、まず持ち上げずに確認します
  • 「浮いたから大丈夫」:浮くことと、安定して走れることは別です。持ち上がっても走行中の揺れや旋回で倒れます
  • 後輪が浮いた状態で走る:後輪はハンドルを切る車輪です。浮いた時点で向きを変えられません
  • 人を後ろに乗せて重しにする:乗車席以外に人を乗せること自体が規則で禁じられています。重さが足りないなら、能力の大きい機械を使います

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