「私有地だから資格はいらない」は通用しません

「うちは私有地だから免許は要らないよ」と言われた経験がある方は少なくないはずです。これは半分だけ正しく、肝心なところが間違っています。事故が起きたときに困るのは、そう言われた本人です。
2つの法律が別々のことを言っている
フォークリフトには、まったく性格の違う2つの規制がかかっています。ここを混同すると話がかみ合わなくなります。
| 道路交通法 | 労働安全衛生法 | |
|---|---|---|
| 何を規制するか | 公道を走ること | 荷役の作業をすること |
| 必要なもの | 大型特殊免許(または小型特殊) | 技能講習の修了証(1トン未満は特別教育) |
| 私有地では | 適用されない | 場所に関係なく適用される |
「私有地なら免許はいらない」が指しているのは道路交通法の話だけです。ナンバープレートも公道用の運転免許も要りません。ここは正しい。
しかし労働安全衛生法は、公道か私有地かを問いません。事業として荷役作業をさせるなら、場所に関係なく資格が要ります。
資格がないとどうなるか
労働安全衛生法の規制は、働く人ではなく事業者にかかる義務として書かれています。資格のない人に作業をさせた事業者が罰則の対象になります。
実務上、より重いのはその先です。
- 労災が起きたときに、事業者の安全配慮義務違反が問われる
- 労働基準監督署の調査が入り、是正勧告や作業停止につながる
- 元請から現場を止められる。建設現場や大手の物流センターでは、修了証の提示を求められるのが普通です
- 任意保険で支払いが制限されることがある。約款によっては無資格運転が免責事由になります
「事故が起きなければバレない」で回っている現場はありますが、起きたときの負担は事業者に集中します。
1トン未満なら不要、も誤り
もう一つよくある誤解が「小さいフォークリフトなら資格は要らない」です。これも違います。
最大荷重1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育が必要です。1トン未満で必要なくなるのではなく、必要なものが変わるだけです。特別教育は6時間程度で、事業者が自社で実施することもできます。
詳しくは1トン未満のフォークリフトと特別教育で解説しています。
走らせるだけなら?運ぶだけなら?
ここも聞かれます。整理するとこうなります。
- 構内で荷役をする → 技能講習または特別教育が必要。運転免許は不要
- 公道を自走で移動する(荷役はしない) → 大型特殊免許が必要。技能講習は不要
- 公道を通って別の敷地へ移動し、そこで荷役をする → 両方必要
荷役をする人と公道を走らせる人が別なら、それぞれ持っていれば足ります。ただし現実には両方を1人がやるので、多くの人が技能講習と大型特殊免許の両方を持っています。公道の話はフォークリフトの公道走行で詳しく解説しています。
対応する教習機関
メーカー系キャタピラー教習所 東関東教習センター
キャタピラーの登録教習機関。出張講習に対応。
メーカー系コベルコ教習所 尼崎教習センター
コベルコ建機グループの教習機関。外国語コース・eラーニングに対応。
メーカー系キャタピラー九州 福岡教習センター
キャタピラーグループの登録教習機関。建機系の技能講習を幅広く実施。